2019: The North Korean Peace Process... (日本語版)

Security in East Asia  -  China - USA - Ja- Korea
Mit freundlicher Erlaubnis des Verfassers

 

The North Korean Peace Process and the Abduction Problem:
A Japanese Role?   日本語版

by Wada Haruki

拉致問題と米朝平和プロセス
和田 春樹 

本年五月三日、安倍首相は産経新聞のインタビューにこたえて、次のように述べた。 「拉致問題の解決には、・・・わが国が主体的に取り組むことが何よりも重要です。まずは現在の日朝間の相互不信の殻を打ち破るためには、私自身が金委員長と直接向き合 う以外はない。ですから条件をつけずに金委員長と会い、率直に、また虚心坦懐に話し 合ってみたいと考えています。」

この「無条件会談」発言は政界でも、メディアでも大きな注目を集めた。五月一九日 家族会と「救う会」が久しぶりに一〇〇〇人を集めた国民大集会を開いた。出席した安 倍首相はここでも「無条件会談」の意思を表明した。首相は会談の「めどが立っていな い」と用心深くつけくわえたが、会場の聴衆は首相の表明に歓呼した。翌日の読売新聞 は、北朝鮮とは圧力重視40%に対して、対話重視は47%に上り、安倍首相の「無条 件会談」方針賛成は52%を占め、反対33%を圧したとの世論調査結果を発表した。 安倍首相の「無条件会談」発言が拉致被害者家族、広範な一般国民の日朝交渉への期待 を高めたのである。

一体安倍首相は何を考え、何をめざしているのか。


二〇一七年に急激に昂進した米朝対立の中で、トランプ大統領のもっとも忠実な同盟 者として、北朝鮮に対する制裁の極限化、軍事的威嚇の示威を推進してきたのは安倍首 相であった。九月の第 6 回核実験のあと、国連総会でトランプ大統領が、挑発をやめな ければ、「北朝鮮を全的に破滅させる以外の選択肢はなくなる」と宣言すると、安倍首 相は「対話による問題解決の試みは無に帰した」、「必要なのは対話でなく、圧力だ」、
「すべての選択肢をテーブルの上にのせている大統領の決断を支持する」と表明した。
帰国後、安倍首相は、「国難突破解散」を断行した。その記者会見で「北朝鮮の脅威に 対し、国民の命と平和な暮らしを守り抜く。この国難とも呼ぶべき問題を私は全身全霊 を傾け、突破していく」と決意をのべた。九月二八日衆議院は解散された。

一国の首相たるもの、戦争と平和の危機に直面すれば、国民に説明し、どのようにし て平和を守ろうとするか、考えを披歴して、信を問うべきであろう。国際紛争を解決す るために武力の行使も武力による威嚇も永久に放棄した憲法を遵守すべき日本国首相で あれば、なおさら難しい選択を声明しなければならない。しかし、安倍首相は危機の内 容も、自分がしようとしていることも、まったく説明せず、ただトランプ大統領との一 〇〇%の共同行動へ突き進む自分への信任を求めたのである。一〇月の総選挙で与党は 勝利し、安倍首相は自分の北朝鮮政策は信をえたと判断した。

現実には、このとき、安倍首相は、自衛隊の制服組のトップに、米軍が北朝鮮に対し て軍事作戦をとる場合、「安保法制の下で自衛隊がどう動くか」を検討準備させていた。 当時の自衛隊統合幕僚長河野克俊氏が、米軍トップのダンフォード統合参謀本部議長、....

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